こんにちは、Kenです。

今回は「生成AI時代に、翻訳者がどのように仕事を失い、実際どんな道を歩み始めているのか?」というテーマに絞ってお伝えします。近年の機械翻訳技術の進化は本当に目覚ましく、ある調査によれば翻訳者の3割超がすでに仕事を失ったと回答しているほど。では、実際に仕事を失った人々はどうしているのでしょうか? 本記事では、いま翻訳業界から離れたり、転職を余儀なくされた翻訳者の現状や事例をまとめてみました。


■ 生成AIによる翻訳者の“仕事喪失”が現実化

● 収入減・案件減はどの分野でも起きている

  • 英国の調査では、「36%が翻訳案件を失い、43%が収入減を実感」との結果が出ています。
  • 特にマニュアル翻訳や定型業務はAIによる置き換えが進んでおり、一度に大量の訳文を出せるAI翻訳にコスト面で太刀打ちできない、という話を至る所で耳にします。
  • 出版翻訳や映像翻訳など、人間の“ひらめき”が重要視される分野でも、周辺の雑多な案件はAIに取られ、副収入が激減したというケースが散見されます。

● “ポストエディット”すら受注できない

最近は「AI翻訳の後編集(ポストエディット)」案件が増えたといわれますが、そちらですら単価が安く、さらに人手も足りているため、そもそも元からいた翻訳者全員がポストエディット業務に移行できるわけではありません。

中には「メインクライアントがAI+後編集体制に変わったとき、自分は契約を切られてしまい、ポストエディット担当の人材が新たに雇われた」というケースもあるそうです。


■ 仕事を失った翻訳者たちは、どこへ行く?

1. 他業種へ完全転職

  • IT企業やソフトウェア系へ
    長年フリーランス翻訳者としてやってきた人が、テクニカルライターカスタマーサポートなど「語学力+ITスキル」を活かせる現場に移る例が急増しています。
    「翻訳一筋で生きてきたが、報酬が下がり続けて家計が回らなくなり、思い切って正社員に」という声も。
  • 全く畑違いの業種へ
    ある翻訳者は副業のウェブ制作で安定的な収益を得られるようになり、そのままウェブ開発会社を起業。翻訳業から完全撤退したそうです。
    また、在宅で翻訳していた人が「もう割に合わない」と接客業に転職し、対面で人と接する仕事にやりがいを見出すようになったという例もあります。

2. 副業として翻訳を“細々と”続ける

  • 「本業をIT企業やライティングに切り替えて、翻訳はあくまで副収入として継続」というパターン。
  • 調査によると、翻訳者の約38%が翻訳以外の副業を持っているというデータも。仕事量が激減したぶん、翻訳は“趣味”“サイドビジネス”扱いになり、週末のみ受けるという人も増えています。
  • 本音では「翻訳だけで食べていきたい」という思いがあっても、現実的には生活を維持するために副業を選ばざるを得ない状況です。

3. フリーランス→正社員という安定志向

  • フリーランス翻訳の市場が競争激化で賃金が下がり、安定収入を求めて正社員にという流れが加速しています。
  • ある日英翻訳者は2022年末にIT企業へ就職し、その直後にChatGPTが登場。「翻訳案件が一気に減りだしたので、早めに動いて本当に助かった」と語っています。

■ 具体的な“転職”体験談

  • イギリス人フリーランサー(11年の翻訳歴)
    「2020年頃から翻訳料の下落を肌で感じるようになり、そこにコロナやAIの普及が追い打ち。大手翻訳会社のレートがどんどん下がったので限界を感じた。いまはソフトウェア企業のテクニカルライターとして働き、安定した給与を得られるように。翻訳業に未練はあるが、家族の生活が最優先なので転職の決断をした」
  • 日本語→英語翻訳者(フリー→ITサポート職へ)
    「副業でやっていたプログラミング学習のスキルが評価され、ITサポート職に就職。
    周囲の翻訳仲間がどんどんポストエディット専用の低単価案件に追いやられているのを見て、転身して良かったと思った」
  • 海外メディア収集・翻訳スタッフ
    「AI翻訳に置き換えられて、会社が大規模レイオフ。その後、翻訳自体からは離れ、物流系の仕事に。実務翻訳からはもう何年も手を引いている」

■ “翻訳職”を諦めるか、それとも…

もちろん、いまだ翻訳者として活躍を続ける人もいますが、一方で「翻訳業界が斜陽化した」「単価が下がりすぎて続けられない」という声も大きいのは確かです。

AI翻訳の普及が一気に進んだことで、フリーランス翻訳者が真っ先に打撃を受け、次に映像や出版の周辺業務にも影響が及んでいるという構図。結果、「翻訳そのものを諦めて別のキャリアに進むしかない」と選択する人が増えているのが現状といえるでしょう。


■ 参考資料

  • The Guardian – “Survey finds generative AI proving major threat to the work of translators”
  • Society of Authors – “Survey on generative AI highlights the growing impact of new technologies on creative careers”
  • Hacker News – “Moving on from freelance translation, starting a new career” (2024年)
  • ProZ.com フォーラム – “Moving on from freelance translation, starting a new career” スレッド内議論
  • CSA Research – “Translators and Interpreters: A Career or a Side Job?”
  • ほか各種メディア報道・翻訳者コミュニティでの事例報告

■ 終わりに

このように、生成AIの進化によって翻訳者が真っ先に仕事を失うケースは、もはや珍しくありません。「自分は大丈夫」と思っていても、急速な技術革新で翻訳市場の構造が大きく変化するのは避けられない流れです。

もし今、翻訳に携わっていて危機感を覚えているなら、早めの転職活動や副業スタートもひとつの選択肢。翻訳業界に残るにせよ離れるにせよ、自分の生活を守るために行動を起こすことが大切なのかもしれません。

以上、今日は翻訳者の「仕事喪失と転職」にフォーカスしてお伝えしました。少しでも状況を理解する助けになれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。