フリーランスで日本語翻訳をしていると、「大手翻訳会社の仕事に興味があるけど、実際の評判はどうなんだろう?」と気になる方は多いのではないでしょうか。大手には安定した案件数やグローバルな実績がある一方で、報酬や支払い、コミュニケーションの面で不安を感じる声も聞かれます。
本記事では、TransPerfect、Lionbridge、RWS(SDLを含む)、Welocalize といった世界的にも有名な大手翻訳会社の評判を、フリーランス日本人翻訳者の視点から比較・整理してみました。単価や支払遅延の有無、案件の質や安定性、PMとのやり取りなど、実際に取引を始める前に知っておきたいポイントを網羅的にまとめています。
1. 大手翻訳会社ならではの特徴:高ボリューム&低単価
まず押さえておきたいのは、「世界的に有名な大手翻訳会社」ほど、総じて単価が低めになりがちという点です。たとえば:
TransPerfect
- 1ワードあたり €0.08 前後など、「高単価は望みにくい」という報告が多数
- 案件量は非常に多いが、同時に登録翻訳者数も膨大なため競争が激しい
Lionbridge
- US$0.10/ワード以下の提示が上限になりやすい
- 大量の短期・低単価の案件が多く、「時間をかけた割に稼げない」という声も
RWS(SDLを含む)
- 他社と同じく低めのレートが多いものの、後述するように比較的支払いと対応が良い傾向
- 特許やライフサイエンスといった専門分野の大口クライアントを多く抱え、マッチすればある程度の継続案件に期待も
Welocalize
- €0.03/ワードの案件報告など、極端に低いオファーの存在が指摘される
- 「質より量」でカバーしようとしても、安定的に案件を回してもらえるかは疑問符がつく
大手であればクライアントも幅広く、仕事そのものは豊富です。しかし一方で「レートは業界水準より低い」と感じる翻訳者が多く、交渉余地もあまり大きくありません。高レートを求めるなら、大手ではなく専門分野に特化した中小エージェントや、直接契約する企業へのアプローチが有効かもしれません。
2. 支払いのスムーズさ:RWSが比較的好評、Welocalizeは注意
RWS(SDL)
- 支払いサイトは 60 日ほどとやや長めではあるものの、「期日にほぼ確実に支払われる」という評価が多数
- 「遅延や未払いのトラブルは少なく安心して取引できる」という声が多い
TransPerfect / Lionbridge
- 一般的に 45 日サイトが多く、実際の振込は 2 か月前後かかるケースが通例
- 一部では支払い遅延や支払方法に関するトラブル(商品券払いなど)が報告されている
Welocalize
- 「未払いの苦情が複数ある」との投稿も見られ、ProZ の掲示板などで不満が噴出
- ときには支払いに関する問い合わせにも対応が遅れがちという評判
大手は財務的な信頼性が高い一方、海外本社とのやり取りが多く事務手続きが煩雑になりがちです。RWS(SDL)はその中でも「きちんとルール通り支払われる」との声が比較的多く、フリーランス翻訳者から高評価を得ています。逆に Welocalize は注意喚起する意見も散見されるため、契約時には支払条件や実績を慎重に確認した方がいいでしょう。
3. 案件の質や PM の対応:RWS が安定、他はバラつきあり
RWS(SDL)
- PM(プロジェクトマネージャー)が丁寧でプロフェッショナルとの評判
- 翻訳者向けの質問フォーラムやガイドラインが整備されており、やり取りがスムーズ
TransPerfect
- 社内スタッフの離職率が高いとの指摘があり、PM の当たり外れが大きい
- 「翻訳者へのフィードバックやサポートが充分でない」という口コミあり
Lionbridge
- 自社ツール利用料の負担を翻訳者側に求めるなど、コスト削減策に不満が出やすい
- 一方で作業フローは定型化されているため、慣れると単純に捌きやすい面も
Welocalize
- 採用後に案件が来るまで数か月放置されるなど、管理体制の杜撰さが指摘される
- 案件の内容も IT・ゲーム・マーケ分野など多岐にわたるが、品質管理やフォロー体制に難があるとの声
「大手 = しっかりしている」というイメージとは裏腹に、PM の対応や案件管理には会社によってばらつきがあります。RWS(SDL)は PM サポートの安定度が高く、何かあれば速やかに相談・修正ができるといった口コミが多いのが特徴的です。
4. 案件数と安定性:TransPerfect が圧倒的量、でも競争率も高い
TransPerfect
- 世界中で 170 言語以上を扱う超大手。日本語案件も常に豊富だが、登録翻訳者数も膨大
- 「テスト合格後、なかなか案件が回ってこない」との声も多々あり、実際に仕事を得られるかは運と実績次第
Lionbridge
- 翻訳だけでなく検索評価(ウェブ評価)など大量の「短期・単発タスク」を抱えており、案件量自体は多い
- しかし単価が非常に低く、まとめて受けても稼げる額は限られるという不満が多い
RWS(SDL)
- 多くの大口クライアントを持つが、時期やプロジェクトによっては仕事の波が大きい
- 特定の専門チームに入り込めれば安定しやすいが、そうでないと依頼がぱったり途絶えることも
Welocalize
- 幅広い業種・分野に対応するが、フリーランス一人ひとりへの案件配分は安定しない印象
- 「登録してもほとんど仕事をもらえないまま終わった」という口コミも
大手は豊富なクライアントを抱えるため、案件数だけを見ると魅力的です。しかし結局のところ、登録者数が多い = 案件獲得競争が激しいという構図があり、特に TransPerfect は「合格後も実績がないと仕事が来にくい」傾向があります。RWS や Lionbridge も仕事量にはムラがあり、翻訳者同士での奪い合いもあるようです。
5. コミュニケーションの取りやすさ:RWS が一歩リード
RWS(SDL)
- PM やサポート担当の対応が丁寧で、質問や相談にきちんと答えてもらえる
- 翻訳者同士が情報交換できるコミュニティやフォーラムを設けるなど、フリーランスでも孤立しにくい
TransPerfect / Lionbridge
- 専用オンラインポータルから機械的に通知を受け取り、納品する流れが一般的
- 担当者によって対応がまちまちで、迅速に助けてくれる場合もあれば放置されるケースも
Welocalize
- 具体的なやり取り事例は少ないが、支払い遅延時の問い合わせ対応に時間がかかるとの批判
- 社内のやり取り自体が混乱しているとの指摘もあり、コミュニケーション面の評価は芳しくない
とくに RWS(SDL)は「翻訳者をチームの一員として扱う」と評価され、困ったときにはしっかりサポートしてくれる点が大きな特徴です。大手ではどうしても「システム化・機械化」したやり取りになりがちですが、RWS はその中でもコミュニケーション重視の姿勢が強いようです。
6. 総合評価:翻訳者から見た「ベストパートナー」はどこ?
RWS(SDL)
- 総合的に最も評判が良い。支払いが確実で PM 対応も丁寧。
- ただしレートは他社並みに低いため、「低単価でも量をこなしていく」戦略が必要かも。
TransPerfect
- 求人数や案件数は圧倒的に多い。ただし翻訳者が多く、競争が激しい。
- 単価やコミュニケーション、支払い面でのトラブル報告も一定数あり、「疲弊した」という声も。
Lionbridge
- 短期タスクや定型化された翻訳案件が多く、慣れると作業はしやすい部分も。
- しかしレートはかなり低く、稼働量に見合った収入を得にくいのが難点。
Welocalize
- IT・ゲーム・マーケなど多様な分野を扱うが、未払いなど金銭面のトラブルが目立つ。
- 「案件が全く来なかった」「やり取りに時間がかかる」など、管理体制への不満が大きい。
結局のところ、翻訳者にとって最適な翻訳会社は「より良い報酬」「コミュニケーションのスムーズさ」「安定した仕事量」をどこまで重視するかで変わります。ただ、大手はおしなべて低単価になりがちなため、高レートを狙う場合はあまり向いていないかもしれません。とはいえ RWS(SDL)は「支払い確実」「PM の質が高い」ため、取引候補としては十分に検討する価値があるでしょう。
まとめ
- 大手翻訳会社は案件量が豊富な反面、単価は低め。
- 支払いとサポート体制では RWS(SDL)が最も評価が高い。
- TransPerfect と Lionbridge は仕事量は魅力だが、単価やサポート面で不満を抱く声が一定数。
- Welocalize は支払い遅延や管理面の不備で悪評が目立つ。
もしこれらの大手翻訳会社との取引を検討するなら、「単価はどれくらい望めるのか」「支払サイト(●日以内)は何日なのか」「PM とのやり取りはスムーズなのか」をよく確かめ、安易に飛びつかず慎重に条件を確認することが大切です。大手だからといって必ずしも働きやすいわけではなく、翻訳者同士の口コミや契約条件をしっかり精査して、自分に合ったパートナーを選びましょう。