分散トレーシングは、マイクロサービスアーキテクチャーの動作を理解し、問題を診断する強力なツールです。しかし、大規模なシステムでは全てのトレースデータを収集・保存することは非常にコストがかかるため、サンプリング戦略が重要になります。今回は、分散トレーシングでよく使用される3つのサンプリング戦略、すなわち、tail-based sampling (テールベースサンプリング)、head-based sampling (ヘッドベースサンプリング)、および probabilistic sampling (確率的サンプリング)について解説します。


Tail-Based Sampling (テールベースサンプリング)

意味

Tail-based samplingはトレースが完了した後にサンプリングの決定を行います。これにより、エラーや高レイテンシといった重要なトレースを優先的に保持し、問題の診断に役立てることができます。全てのトレースデータは一時的にバッファリングされ、トレースの完了後に重要な属性に基づいてサンプリングの決定が行われます。

訳し方

この戦略は日本語では「テールベースサンプリング」と訳されます。


Head-Based Sampling (ヘッドベースサンプリング)

意味

Head-based samplingはトレースの開始時にサンプリングの決定を行います。この戦略ではトレースの開始時に一定の確率でサンプリングを行うため、事前に定められたサンプリング率に基づいてデータが収集されます。

訳し方

この戦略は日本語では「ヘッドベースサンプリング」と訳されます。


Probabilistic Sampling (確率的サンプリング)

意味

Probabilistic samplingはランダムにトレースをサンプリングする戦略であり、一定の確率でトレースデータを収集します。これにより、システム全体のパフォーマンスを概算するのに十分なデータを効率的に収集することができます。

訳し方

この戦略は日本語では「確率的サンプリング」と訳されます。


まとめ

各サンプリング戦略はそれぞれの利点と欠点を持っており、システムの要件や目的に応じて適切なサンプリング戦略を選択することが重要です。テールベースサンプリングはエラー分析に有用ですが、データのバッファリングが必要であり、ヘッドベースサンプリングや確率的サンプリングはより低コストでシンプルな方法を提供しますが、重要なトレースを見逃すリスクがあります。