海外の翻訳会社と仕事をするフリーランス翻訳者にとって、外貨での支払いは避けて通れない課題です。支払いが一定の水準に達した際、最も重要なのは、いかに効率的かつ経済的に資金を受け取るかです。この記事では、海外送金のサービス選びの重要性に焦点を当て、さまざまなオプションの中から特におすすめのサービス「Wise」について詳しくご紹介します。
Ken
収入が増えてくると気になってくるのが
あざらし
税金と送金手数料やな
伝統的な銀行送金のデメリット
日本の一般的な銀行を利用して海外からの送金を受け取る方法は、多くのフリーランス翻訳者にとって最初の選択肢となるかもしれません。しかし、この方法にはいくつかのデメリットが存在します。
まず第一に、手数料の問題です。多くの銀行では、国際送金の際に高額な手数料が発生します。これは、送金額に応じて変動することが一般的で、特に大量の資金を移動させる際には、そのコストはかなりのものとなります。さらに、受け取り側の銀行も手数料を取ることが一般的で、双方の手数料が合算されることにより、翻訳者は大きな負担を負う可能性があります。
次に、為替レートです。銀行が提供する為替レートは、市場レートよりも不利な場合が多いです。これにより、翻訳者はさらなる損失を被ることになり、実際に手元に入る金額は、予想よりも大幅に少なくなる可能性があります。
私はかつて国内の都市銀行で国際送金を受け取っていました。手数料は固定で2,000円程度だったので、これなら安いもんだと思っていました。しかし、ずいぶん経ってから実は為替レートに隠れた手数料が乗っかっていることに気づいたのです。結局、かなりの額の手数料が引かれていたのです。
PayPalの利便性とコスト
PayPalも、海外からの支払いを受け取るための人気のオプションです。その利便性から、多くのフリーランス翻訳者が利用しています。PayPalを利用すると、メールアドレスさえあれば、簡単に国際間の送金が可能です。また、スマートフォンアプリを利用すれば、いつでもどこでも取引の管理ができます。
しかし、PayPalもまた、高額な手数料がデメリットとして挙げられます。送金額に応じた手数料のほか、為替レートにもマージンが加算されます。これにより、実際に受け取れる金額は、送金された額よりも少なくなります。特に、頻繁に小額の送金を受け取る場合、その手数料の累積は大きな負担となり得ます。
あざらし
PayPalの手数料はハンパないで…
その他の送金オプション
海外送金の方法は、銀行やPayPal以外にも様々です。例えば、クレジットカードを利用した送金サービスや、仮想通貨を利用した送金方法などがあります。これらの方法も、一定の利便性を提供していますが、やはり手数料の問題や、セキュリティの懸念、利用できる国が限定されているなど、様々なデメリットが存在します。
クレジットカードを利用した送金サービスは、手軽さが魅力ですが、カード会社によっては、国際取引に対する手数料がかかることがあります。また、仮想通貨を利用した送金は、為替レートの変動リスクが大きいため、価格の安定性に欠けます。これらの方法も、一長一短であり、フリーランス翻訳者にとって最適な選択肢とは言えません。
Wiseの利点と特徴
ここで、私が特におすすめする送金サービス「Wise」について詳しくご紹介します。Wise(旧TransferWise)は、国際送金サービスを提供する企業で、その手数料の安さ、使いやすさ、安全性で多くのユーザーから支持されています。
手数料の安さ
Wiseの最大の特徴は、何と言ってもその低い手数料です。Wiseは、中間マージンを設けず、実際の為替レートでの取引が可能です。これにより、他の送金サービスと比較して、大幅にコストを削減することができます。また、手数料は明瞭で、事前に計算ツールを利用して確認することができます。これにより、隠れたコストに悩まされることなく、安心して送金を行うことができます。
以下は、私が米国の翻訳会社から支払いを受け取ったときの実際の明細です(会社名や口座名義などは塗りつぶした上で架空のものに書き換えています。また、取引番号などは消してあります)。
ABC社からの米ドルの送金が私のWiseの米ドル口座に入金されたときの明細。ご覧の通り、手数料はゼロです。Wiseでは、マルチカーレンシー口座というものを開設することで、米国から送金された米ドルをまるで国内送金のように受け取ることができるため、送金手数料無料を実現することができています。
Wise(以前のTransferWise)のマルチカーレンシー口座は、複数の異なる通貨で資金を保持、管理、送金するためのオンラインの金融サービスです。このサービスは、国際的な取引や複数の通貨での取引を頻繁に行う個人やビジネスに特に便利です。
マルチカーレンシー口座にはさまざまな特徴がありますが、海外送金を受け取るフリーランス翻訳者にとって特筆すべきは、
日本にいながらにして主要10通貨(米ドル、英ポンド、ユーロ、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、シンガポールドル、ルーマニアレイ、カナダドル、ハンガリーフォリント、トルコリラ)の海外銀行口座情報を取得できる
という点です。
これにより、上記の各通貨について、現地の銀行口座を持つのと同等の利便性が享受できます。
例えば、アメリカからの米ドル支払いを受け取る際、Wiseの米ドル口座情報を利用すれば、アメリカ国内送金と同様、手数料無料で資金を受け取ることができます。これは、世界中にクライアントを持つフリーランサーやノマドワーカーなど、外貨での取引が多い方々にとって、非常に便利な機能と言えるでしょう。
Ken
もし外国の銀行口座を取得しようとすると、通常は現地に行かなければならないわけですが、それを日本国内にいながらできてしまうわけです
受け取った米ドルはそのまま保持しておくこともできますが、日本円に両替しました。その際の手数料が22.80ドルになっています。両替額が増えるほどこの手数料も高くなります。両替額が4,582.68ドルで両替時の為替レートが130.425円/ドルなので、計算すると597,696.039円の両替に対して2,973.69円の手数料がかかったことになります。
あざらし
ざっくりと60万円に対して3,000円の手数料てことやな
ここで注目すべきは、手数料そのものの安さもありますが、為替レートが市場のレートをそのまま反映しているということです。銀行やPayPalなどの場合、為替レートが市場レートよりも不利なレートになっていることがほとんどです。つまり、名目上の手数料以外に「隠れた手数料」がかかっていることになるのですが、Wiseにはそれがありません。
これを「ミッドマーケットレート」(Mid-Market Rate)と言います。
ミッドマーケットレートは、通貨ペアの売り値(Ask Price)と買い値(Bid Price)の中間の為替レートのことを指します。これは、通常、銀行や通貨交換業者が顧客に対して適用するレートよりも有利なレートです。
売り値は、ある通貨を売る際のレートであり、買い値は、ある通貨を買う際のレートです。これらの価格の差は「スプレッド」と呼ばれ、金融機関が利益を上げるためのものです。ミッドマーケットレートは、売り値と買い値の平均であり、市場における「公正な」為替レートと見なされることが多いです。
例えば、USD/JPYの売り値が110.50円で、買い値が110.00円の場合、ミッドマーケットレートはこれらの中間値、すなわち110.25円になります。
ミッドマーケットレートは、特に個人が外国為替市場で通貨を交換する際の参考レートとして利用されますが、実際の取引レートは、金融機関の手数料やスプレッドが加算されたレートになります。
しかし、Wiseの場合はこのミッドマーケットレートで外貨両替することができるため、隠れた手数料が存在しません。
Wiseでは、米ドルにしろ、日本円にしろ、またはその他の通貨にしろ、Wiseの口座内にとどめておくことができますが、私は日本国内の銀行口座に送金するようにしています。その際の手数料は送金額にかかわらず200円です。ただし、一度の送金で取り扱える額が100万円までという制限があります。このため、例えば150万円を送金する場合は2回に分けて送金する必要があるため、手数料は400円になります。
使いやすさ
Wiseは、直感的なインターフェースと使いやすいアプリで知られています。アカウントの作成から送金の手続きまで、全てのプロセスがシンプルでわかりやすいです。また、多言語に対応しているため、日本語をはじめとする様々な言語でサービスを利用することができます。これにより、言語の壁に悩まされることなく、スムーズに送金を行うことができます。
Wiseのモバイルアプリのホーム画面。日本語に対応しており、とても使いやすい設計になっています。
安全性
Wiseは、世界中で利用されている信頼性の高いサービスです。同社は、各国の金融監督機関からのライセンスを取得しており、厳しい規制のもとで運営されています。これにより、ユーザーの資金は安全に保護され、安心して送金サービスを利用することができます。また、2段階認証やデータ暗号化技術を採用し、ユーザーのアカウントと資金の安全性を確保しています。
Ken
何年も利用していますが、今のところトラブルは皆無です
Wiseの利用方法
Wiseの利用方法は非常にシンプルです。
まず、Wiseのウェブサイトにアクセスし、「アカウントを開設する」または「会員登録」をクリックしてアカウントを作成します。アカウント作成の際には、基本的な個人情報や連絡先情報が必要ですが、案内に沿って進めていけば迷うことはないでしょう。
アカウント作成後、Wiseにログインするとホーム画面が開くので、「開く」をクリックします。
残高の「開く」をクリックします。
ドロップダウンから開きたい口座の通貨を選択し、「確定する」をクリックします。
これで口座が開設されました。
続いて、送金を受け取るためには開設された口座の情報を送金側(翻訳会社等)に伝える必要があります。
ホーム画面から対象通貨の口座を選びます。
左上の口座番号をクリックします。
口座情報が表示されるので、送金側にこの情報を伝えます。
なお、送金者がその通貨の国内から送金するのか、国外から送金するのかで、伝える情報が変わります。米ドルの場合、送金者が米国から送金するなら「国内」タブを選択し、米国外から送金するなら「グローバル・SWIFT」タブを選択します。
Wiseを利用した実際の経験
私自身も、フリーランス翻訳者としてWiseを利用しています。これまでの経験から言えば、Wiseは非常に信頼性が高く、手数料も低いため、大変助かっています。特に、複数の国からの支払いを受け取る際には、そのコスト削減の効果を大いに実感できます。
また、Wiseのアプリは非常に使いやすく、送金の進捗をリアルタイムで確認できるため、安心感があります。これまでに何度も海外からの支払いをWiseを通じて受け取ってきましたが、一度もトラブルに遭遇したことはありません。
まとめ:Wiseで賢く、効率的に送金を
海外の翻訳会社との取引において、送金方法の選択は重要なポイントです。伝統的な銀行送金やPayPal、その他のオプションも利便性はありますが、手数料のコストや為替レートのデメリットも無視できません。そこで、コスト削減と効率性を重視するならば、Wiseが最適な選択肢と言えます。
Wiseの低い手数料、使いやすさ、高い安全性は、フリーランス翻訳者にとって大きなメリットです。私自身の経験からも、Wiseは信頼できるサービスであると確信しています。これからも、Wiseを活用し、賢く、効率的に送金を行っていくつもりです。
皆さんも、海外からの支払いを受け取る際には、ぜひWiseを検討してみてください。その利便性とコスト削減の効果を、きっと実感できるでしょう。